ドビュッシーの交響的素描「海」(前編)

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   今年(2018年)が没後100年のメモリアルイヤーであるドビュッシーの、今回は代表作を登場させましょう。管弦楽のための「海」という作品です。

  • ドビュッシーの肖像
    ドビュッシーの肖像
  • 「海」の管弦楽版楽譜。3つの交響的素描、というタイト ルが見える
    「海」の管弦楽版楽譜。3つの交響的素描、というタイト ルが見える
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音楽の道を選んでなければ船乗りになっていた

   クラシック音楽の中ではリストが創始した「交響詩」に分類されることが多い曲ですが、ドビュッシー自身は「交響的素描」と名付けています。確かに、交響詩は文学作品の内容をインスピレーションとして作られることが多い管弦楽作品ですから、文学的原作を持たず、「海」そのものを描いているこの作品は、交響詩、ではないのかもしれません。

   この曲が書かれたのは1905年。1894年に「牧神の午後への前奏曲」を発表し音楽界に衝撃を与え、20世紀に入ってオペラ「ペレアスとメリザンド」を完成させていたドビュッシーは、40代になって、作曲家として確固たる地位を築いていました。

   彼はピアニストとしてもすぐれていたので、「ベルガマスク組曲」などに代表されるピアノ作品や歌曲作品もすでに数多く傑作を発表していましたが、オーケストラの作品においても、円熟期を迎えていたといってよい時期でした。

   そんな彼が、力を入れてオーケストラの作品を書こうと思い立った時に、題材に選んだのは「海」でした。パリ郊外の生まれですが、幼少期に南仏カンヌの親類のもとで生活したことのあるドビュッシーは、自ら、音楽の道を選んでなければ船乗りになっていた、と友人に書き送ったぐらいです。

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でフプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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