【震災7年 明日への一歩】日本発の災害支援を世界のお手本に フェイスブックジャパン・長谷川晋代表インタビュー

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

災害時にフェイスブックを使って何ができるか

   ――今年3月、震災の被災地のコミュニティーに寄付をするプロジェクトを立ち上げましたね。

長谷川氏 「未来につなぐ、いいね!を贈ろうプロジェクト」です。3月1日~11日の期間、「くまもと友救の会」(熊本県益城町)、「つながろう なみえ」(福島県浪江町)、「阪神淡路大震災1.17希望の灯り」(兵庫県神戸市)の3団体の活動を紹介する動画をフェイスブックで公開し、再生回数は5万5000回以上となりました。

さらに「いいね!」やコメントでの応援が寄せられ、これを寄付という形で各コミュニティーに贈ったのです。4月に熊本、5月に神戸、8月に福島県浪江町を訪問し、それぞれ寄付金や相当額のグッズ贈呈のほか、各コミュニティーのニーズに合わせて最適な形で協力しました。

   ――災害時には善意の輪が広がる半面、インターネット上でのデマ拡散といった面も否定できません。フェイスブックとして、どのように取り組んでいきますか。

長谷川氏 災害時に限らず、ニセ情報を防いで安全なプラットフォームになることは、フェイスブックにとって極めて重要です。不適切情報防止の取り組みに注力しており、例えば不適切投稿を人工知能(AI)で瞬時に検知できる技術に加え、「人の目」によるチェックも今年中に2万人規模に拡充し、24時間・50か国語以上のコンテンツに対応する予定です。

もちろん今が完全ではありません。AIの機械学習や人の目の訓練を重ねるなど、取り組みの強化は今後も続けていきます。

   ――今年は自然災害が頻発しました。今後どのように被災地を支援していくのですか。

長谷川氏 西日本豪雨、大阪北部地震、台風21号と24号、そして北海道地震...。この夏は本当に多くの災害が国内で起きました。すべての発生時に「災害支援ハブ」が起動し、活用いただけました。災害支援ハブには募金キャンペーン機能が実装され、西日本豪雨では利用者から約800万円が集まりました。

西日本豪雨の被災地、岡山県真備町では豪雨から100日目に、今後の復興に向けて「キャンドルライト」のイベントを実施し、フェイスブックで動画を配信しました。こういう機会を通じて現地の様子を知ってもらうのと同時に、フェイスブックの機能の説明を多くの人に伝えるようにしていきたいです。

個人的には、ユーザーの皆さんの災害時における情報発信力が大きくなってきたと感じます。今日ではモバイルシフトが進み、場所を問わずネットにつながって情報の受発信ができる環境が整いました。現代では日常生活の中心にモバイルがあると言ってよいでしょう。ただ、災害対応がすべてモバイルでまかないきれているとは言い切れません。仕組みやプラットフォーム、個人の情報発信を含め、もっと良くなる余地はあると思います。そのためには、フェイスブックを使えば災害時に何ができるか理解を促進する活動が極めて重要です。

自然災害は残念ながら避けられません。ただ、その対応が進んでいくことは、世の中へのポジティブなインパクトになります。テクノロジーを通じて世界をよい方向に進める。そのため日本がお手本になるうえで、災害支援に大きなポテンシャルを感じています。
姉妹サイト