「自由」という共通項があった
深夜放送とフォークソングは密接な関連を持っている。不況のラジオが起死回生の策として「放送休止枠」を使う事で始まった深夜放送とそれまでの音楽に満たされなかった若者たちの「新しい自由な歌」。広島フォーク村の自主制作アルバム「古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう」は深夜放送と関わりの深かったエレックレコードから発売された。ニッポン放送とエレックレコードが主催していたコンサート「唄の市」は、その結びつきの表れだった。
エレックレコードでデビューし、80年代の「オールナイトニッポン」だけでなくTBS「パック・イン・ミュージック」と文化放送「セイ!ヤング」でもパーソナリティーを担当するなど「深夜放送全局制覇」の吉田拓郎は今もニッポン放送でレギュラー番組「ラジオでナイト」を持っている。
51年目を迎えて継続中の「オールナイトニッポン」と約2年半の活動で幕を閉じた「広島フォーク村」。「自由」という共通項があった。「オールナイトニッポン」の始まりのフレーズはこうだった。
「君が踊り僕が歌うとき、新しい時代の夜が生まれる。太陽の代わりに音楽を。青空の代わりに夢を」
あれから50年。変わったものと変わらないもの、終わってしまったことと受け継がれていること。吉田拓郎が広島フォーク村時代に作った「イメージの詩」の冒頭のこんな一節は、今もなお生き続けている。
「これこそはと信じれるものがこの世にあるだろうか」--。
(タケ)