筑摩書房が、前代未聞の理由で「復刊」に踏み切った。
とある理由で同社に問い合わせが「殺到」し、急きょ対応に動いたのだ。
「定価の10倍する.........」
2004年に発売し、現在は絶版となった『日英語表現辞典』(最所フミ著)が突如、脚光を浴びた。
あるツイッターユーザーが2018年9月8日、同書の表紙と中身を写した画像とともに、
「この本、Twitterで知って発注したけど、ハンパないわ。英語を勉強しようとか英語で仕事をしようとかいう人は、読むべきと言うより、読まなくてはいけないレベルの本」
と投稿した。すると、6000以上もリツイート(拡散)され、
「英語での仕事はしてないけど、読みたい」
「この本、最初の"admit"から面白すぎる!これは知識欲が満たされる感ある」
といった声が相次いだ。
『日英語表現辞典』は、英語学者である著者による和英・英和辞典だ。外国人には理解が難しい「英語」「日本語」を厳選し、それぞれの国の伝統的な表現や慣用句、俗語を解説している。
例えば、日本語独特の言い回しである「家庭の事情」「古狸」の好ましい英訳表現を紹介している。ちくま学芸文庫が9月12日ツイッターに投稿した写真を見ると、ユーザーがツイートした「admit」のページがある。単なる単語の意味ではなく、相当長い「解説」が書かれている。
この投稿をきっかけに、ネット通販で流通していた中古本の購入が相次いだためか、アマゾンなどで元の価格の数倍に高騰したとの報告が相次いだ。
「定価の10倍する.........」
「今は1万円以上のしか残ってないみたいです」
復刊の機運「今回が初めて」とちくま学芸文庫の編集長
ツイッターでの盛り上がりを受け、筑摩書房の公式ツイッターが9月12日、「『どうしても読みたい!』というたくさんの声にお応えする」として、急きょ「復刊」すると発表した。
ちくま学芸文庫の編集長は10月2日、J-CASTトレンドの取材に「本がバズる(ネット上で拡散)ことはよくあるのですが、復刊してもいいんじゃないかという機運になるのは今回が初めてした」と驚きを隠さない。
ツイッターの投稿を見た人から電話での問い合わせが殺到し、復刊できる手ごたえを得られたという。
『日英語表現辞典』は、同じ著者による『英語類義語活用辞典』(03年刊)が好評だったために、第二弾として上梓された。編集長によれば、これまで増刷・重版はかからなかったそうだ。
今回の発行部数は非公表としつつ「かなり多めにさせていただきました」(編集長)。英語の学習者にとって非常に役立つ内容だと太鼓判を押した。10月4日頃には全国の書店やネット通販で販売するとしている。
なお、ネット上での盛り上がりを受けて「復刊」した例は他にもある。品切れ状態だった歴史書『仙境異聞・勝五郎再生記聞』(岩波文庫)も、ツイッターでの「バズ」がきっかけで、18年2月に増刷された。