「ほぼデビュー曲」が代表作に ラフマニノフの前奏曲「鐘」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

浅田真央がバンクーバー五輪で使用した曲

   実際この「幻想的小品集」の中でも、この「第2番 前奏曲」は飛びぬけて人気が高くなり、ピアニストとしても活動しつつあったラフマニノフは、演奏会のたびに、この曲をアンコールで弾いてくれ!という要望が引きも切らず寄せられ、さすがに嫌気がさしてしまうほどであったと伝えられています。

   その後、ラフマニノフは、ショパンなど先輩の作曲家が完成させた24の調すべてでの「前奏曲集」を作曲して完成させるので、題名がたまたま「前奏曲」であったにすぎない本来は「幻想的小品集の2曲目」であるこの曲は、前奏曲集の1曲との差別化を図るためか、ますます「鐘」と呼ばれるようになります。

   「鐘」の人気はさらに加速して、オーケストラの編曲バージョンも作られ、フィギュアスケートの浅田真央選手がバンクーバーオリンピックの時に使用したために、日本のスケートファンにも広く親しまれています。

   ラフマニノフには、まったく別の独唱と合唱による「鐘」という歌の曲集もあるのですが、現在、「鐘」というと、このピアノ曲...本来は「前奏曲」と名付けられていた、この曲を指すのが通例となっています。

   音楽院を卒業したばかりで、作曲家としても、ピアニストとしてもプロとしてこれから、というときに大ヒットとなったこの曲は、まさに彼の存在を世の中に知らしめる「鐘」となって大いに響いたのです。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

姉妹サイト