「手塚治虫生誕90周年」を迎えた今年、10万馬力のロボット少年・アトムがついに実現か――。
講談社、手塚プロダクション、NTTドコモ、富士ソフト、VAIOの5社が共同開発した「コミュニケーション・ロボット ATOM」が誕生だ。2018年9月10日、講談社(東京都文京区)で完成版の記者発表会が開かれた。
「こんなにおちゃめで面白いロボットは存在しない」
ATOMは「おはよう」といった挨拶から心理テストの出題、落語の「寿限無」ほか3種類の演目披露まで、多様なおしゃべりを楽しむことができる。あくびやくしゃみなど人間味あふれる仕草も特徴的で、講談社第四事業局局次長ATOMプロジェクト・プロジェクトリーダーの奈良原敦子さんは、
「こんなにおちゃめで面白いロボットは存在しないんじゃないかなと思います」
と話した。
実際に記者はATOMに話しかけてみた。
記者「ラジオ体操やって」
ATOM「ラジオ体操ですね。一緒に頑張りましょう!」
ATOMの胸にある液晶ディスプレーに「DVD付き もっとスゴイ!大人のラジオ体操決定版」(講談社)の映像が映し出され、ATOM自身も体を動かしてラジオ体操を始めた。ATOMプロジェクト担当編集の秋元賢一さんによれば、本当はATOM自身に体操を指導させようとしたが、「NG」が出たため、「あと少し」といった「合いの手」をいれるだけに留まったという。
「完璧じゃないところがかわいい」
記者発表会では、ATOMの発売に対して寄せられた、著名人からのビデオメッセージが紹介された。
女医でタレントの西川史子さんは、開口一番、ATOMに「友達になって」とリクエスト。「あなたをなんとお呼びすればいいですか?」と返すATOMに対して、「かわいいね。面白いね、やっぱり、AIって」と感動した様子だった。
「鉄腕アトム」の作者・手塚治虫さんの息子で、「ヴィジュアリスト」の手塚眞さんは、「(漫画『ブラック・ジャック』の登場人物)ピノコについて教えて」「手塚先生のエピソード教えて」と、眞さんならではの質問を投げかけた。続けて、
「完璧じゃないところがかわいい。なんかしてあげたくなっちゃうっていうね。つい助けたくなっちゃう(中略)案外急に賢いことも言う。そのギャップもね、すごく面白いから、1日中相手してられる」
と話した。
ATOMは2018年10月1日より、組み立てられた状態の「完成版」が家電量販店や百貨店、「講談社ONLINE STORE」などで発売される。希望小売価格は21万2900円。9月10日から予約を開始した。