英国が欧州連合(EU)から離脱(いわゆる「ブレクジット」)した後の世界を体験できるパソコン(PC)向けゲーム「Not Tonight」が、注目を集めている。
ゲームは賛否両論
2016年6月の国民投票でEU離脱派が残留派を上回り、交渉が進むブレクジット。英国内では反対派も根強く、当時のキャメロン政権で首相付の政務広報官を務めた人物が著書『英国がEU離脱という「悪魔」を解き放つまで』を刊行。過度な移民削減によりナショナリズムが強まるなどの懸念が持たれている。
「Not Tonight」では、その悪魔が跋扈(ばっこ)する英国を描く。ブレクジットの争点である、英国に滞在する他国民の権利や処遇に焦点を当てる。
プレイヤーは、最近になって英国の市民権を失ったという設定。極右政権の「一生懸命に働き、トラブルを起こさなければ滞在は許可する」との号令のもと、警備員などの決まった仕事をこなしていく。
ゲームが進むうちに、プレイヤーは絶望とともに生活を送るか、レジスタンスに加入し政権と戦うかを迫られていく。
ゲームは2018年8月17日にリリース。ゲームを配信している「Steam」では、326件のレビューのうち、81%が「好評」だ。
しかし、政治的なメッセージに批判的な声も上がっている。AFP通信によれば、開発者のティム・コンスタント氏は、
「ブレクジットをめぐる議論から考えて、反発があることは大方予想していた。それでもこのゲームが、今の状況についてもう少し考えるきっかけになれば素晴らしいことだ」
と語っているという。