テレビアニメ「はたらく細胞」が、「生物の勉強に役立つ」「生物の先生に勧められた」と学生たちの間で評判だ。
だが、具体的にどう勉強につながっているのかまでは不明瞭だ。J-CASTトレンド記者は、代々木ゼミナールの生物講師・鈴川茂先生に取材、解説してもらった。
細胞をイメージ化、頭に入りやすい
「はたらく細胞」は擬人化された細胞たちのドラマで、「すり傷」や「インフルエンザ」など、人間の体内の事象をバトルアクション風に描いている。原作は清水茜氏の漫画作品で、「月刊少年シリウス」(講談社)で連載中だ。2018年7月にテレビアニメの放送が開始した。
鈴川先生は、アニメを補足する役割として順次公開されている動画「はたらく細胞ゼミナール」で生物講師として、細胞について解説している。そのうえで、「はたらく細胞」は生物の勉強の導入としての貢献が大きいとして、こう説明した。
「(勉強で)覚える単語が増えれば増えるほど生徒さんは困っちゃうらしいので、(『はたらく細胞』を見て)細胞をイメージ化することで、頭に入りやすくなっているのではないでしょうか。細胞はいろんなはたらきを持っているんですが、『はたらく細胞』はうまく擬人化しながらも、1つの細胞の特定のはたらきにスポットを当てることで、そのはたらきをだれが見てもわかりやすいようにうまく説明できていると思います」
実際に鈴川先生は、代ゼミの授業で生徒たちに「はたらく細胞」の視聴を勧めていると明かす。
「なんで」と疑問を持ち続けていくのが重要
では、このアニメを勉強に活用する際の注意点はあるか。
「現実との乖離はもちろんあります。たとえば、赤血球をそもそも細胞と呼ぶのかとか。赤血球って核がないし、細胞としてのはたらきはほぼ持っていないんですね。でもそういう疑問を持った人は、勉強につながるわけですよね。自分が疑問に思ったことを調べ始めたら、『はたらく細胞』の存在価値はすごく大きいと思います」
また具体的な活用方法については、こう答えた。
「いまの入試問題というのは、『知識』というのは当然になっていて、『考察』がメインなんですね。知識一辺倒の時代は終わってきているので、細胞などの名称は覚えていて当然。そのうえで実験・考察が始まる。『はたらく細胞』を見て、『なんでこうなるんだろう』『なんでなんで』という疑問の連続をしていければ、これからの受験勉強に絶対にいいです。あと息抜きにもなりますしね」