代表作「四季」の「お隣」
40歳代中頃のヴィヴァルディは円熟期を迎え、書き慣れたヴァイオリン協奏曲のスタイルで12曲を完成し、「和声と創意の試み」という名を付けた曲集として出版します。
その5曲目が「海の嵐」と名付けられました。悲劇的な様子は全くなく、どちらかというと快活な雰囲気で始まる曲ですが、海に慣れたヴェネツィア人、ヴィヴァルディにとっては、華麗な旋律が独奏楽器と弦楽合奏団でやり取りされる様子を「嵐」にたとえたのかもしれません。
ちなみに「和声と創意の試み」の第1曲目から第4曲目には「春」「夏」「秋」「冬」と名付けられ、まとめて「四季」と呼ばれて、ヴィヴァルディの最も有名な作品となっています。「海の嵐」は、そのお隣の第5曲です。同じく彼の華麗なイタリアン・コンチェルトの世界が味わえますので、「四季」がお好きな方も、ぜひ聴いてみてください。
本田聖嗣