世界中で象牙の不正な取引が問題となる中、世界自然保護基金(WWF)シンガポール支部が啓発を目的に、インターネット上での意図的な「炎上」を起こした。
国際的な売買の中継地点とされるシンガポールでは、象牙取引をめぐる国内の法規制に抜け穴があるとの指摘がある。
「炎上」を利用して政府に働きかけ
象牙の国際取引は、ワシントン条約で1990年以降禁止されている。だがシンガポールでは、それ以前に流通していた象牙は今でも国内取引が可能だ。
WWFシンガポール支部によれば、1990年以降に採取された象牙であっても「以前のモノだ」と主張して販売する業者は少なくなく、法律に欠点があるという。
これを訴えるため、WWFシンガポール支部は2018年8月初旬に架空のファッションブランド「Ivory lane」を立ち上げ、象牙を使ったイヤリングとネックレスを販売した。啓発という狙いは当初伏せられた。
インターネット上ではすぐさま批判が殺到。「Ivory lane」は、フェイスブックとインスタグラムで「90年以前の象牙を使っているから問題ない」といった旨の反論をし、さらに非難を浴びる事態となった。
それから数日後、WWFシンガポール支部はネタを明かした。多くの人は象牙取引を一切容認していないことがわかったとして、シンガポール政府に象牙の国内取引禁止を見据えた法規制の強化を求めた。
WWFシンガポール支部によれば、6日間で投稿は25万人に届き、6万5000以上の反応を集めたという。