植物が持つ擬態力、動物を操る能力、分散化能力を読み解く

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人類が植物を擬態する21世紀

   根づくと身体はどうなるのか。植物にとって、捕食者にねらわれても即死しない分散化構造の身体が宿命となる。身体の大部分を切り取られても耐える身体。大脳や心臓がなくても生きていける身体。

   地下にある根こそが大切。根は、光や重力はもとより、温度、湿度、土壌の成分、空気の成分まで感じ取る。一本の樹木には数十億の根端があり、収集した情報は統一管理されることなく、根の単位ごとに生存の選択をしている。昆虫や鳥の群れが整然とした集団行動をとるのと同じく、中央集権のシステムがなくても、生存にふさわしい集団行動はできる。

   いま、植物の身体の生命維持のためのアルゴリズムがどうなっているのか、植物学・動物学の世界を越えて、科学者がフラクタル解析を行っているのである。個人がインターネットに常時接続してコミュニケーションすることが可能となってわずか10年。組織の意思決定も、トップダウン式から、現場尊重、多数決重視に急速に変化していく可能性がある。

   そうした仕組みをいかに作り上げるか。

   21世紀は、人類が植物を擬態する世紀なのかもしれない。

経済官庁 ドラえもんの妻

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。
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