安易なあきらめの壁
脚本家がシナリオを書き、コラムニストが気の利いた話を書くには、それなりの下調べが要る。学者が論文を書くならなおさらだ。プロの場合、最終的に図書館や百科事典、自分の資料集を頼りにするのだが、いつの頃からか「とりあえずインターネット」という行動パターンが身についた。
ある言葉の検索結果を手がかりに、ほぼ無限大の情報の海から使えそうなものを拾ってくる。これでアタリをつけて、参照すべき原資料を絞り込む。この作業によって、下調べの効率はかなり上がる。アマチュアの随筆なら、ネット情報だけで十分かもしれない。
ところが、お手軽な調べものに慣れると、スマホ「でも」分からないならおしまい、となりがちだ。自ら「あきらめの壁」をネットの中に築いてしまう。
さて「理解できないものは受けつけない」世代に、「分からないから面白い」というクドカン流は通じるのだろうか。「パンク侍」の評判や興行成績が気になり始めた。調べてみるか、とりあえずネットで。
冨永 格