スマホにもない答え 宮藤官九郎さんは中1の娘に「だから面白いのだ」

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安易なあきらめの壁

   脚本家がシナリオを書き、コラムニストが気の利いた話を書くには、それなりの下調べが要る。学者が論文を書くならなおさらだ。プロの場合、最終的に図書館や百科事典、自分の資料集を頼りにするのだが、いつの頃からか「とりあえずインターネット」という行動パターンが身についた。

   ある言葉の検索結果を手がかりに、ほぼ無限大の情報の海から使えそうなものを拾ってくる。これでアタリをつけて、参照すべき原資料を絞り込む。この作業によって、下調べの効率はかなり上がる。アマチュアの随筆なら、ネット情報だけで十分かもしれない。

   ところが、お手軽な調べものに慣れると、スマホ「でも」分からないならおしまい、となりがちだ。自ら「あきらめの壁」をネットの中に築いてしまう。

   さて「理解できないものは受けつけない」世代に、「分からないから面白い」というクドカン流は通じるのだろうか。「パンク侍」の評判や興行成績が気になり始めた。調べてみるか、とりあえずネットで。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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