結局は見た目かも
毒蝮さんは全国、津々浦々の高齢者に説教できる稀有な芸能人である。技量、経験ともに申し分ない。だから私も、上記の文章を心して読んだ。
チャーミングなジジイとは、お茶目なおじいちゃんといったところか。ジジイ予備軍の私も、だいたいそのあたりを目ざしてはいるのだが、これがなかなか難しい。何が邪魔するかといえば、まず見栄である。
毒蝮さんが書くように、ついつい現役時代の地位や肩書を意識し、お茶目に振る舞おうにも「恥ずかしくてそんなことできないよ」「少し怖がられるくらいがいいんだ」といった反応になってしまう。そんな時、無理してスベるのが一番つらい。自然体、かつチャーミングというのは、凡人にはかなり高いハードルではなかろうか。
敬老の日にちなんで「理想のおじいちゃん」をたずねるアンケートがある。ネットで探したところ、そのいくつかで三國連太郎(1923-2013)がトップだった。なるほど、晩年の代表作、映画「釣りバカ日誌」シリーズの社長役などは、とぼけた味がまさにチャーミングといえる。
ただ、勘違いしてはいけない。二枚目が演じているから素敵に見えるわけで、宇津井健しかり、田村正和しかりである。私ら一般のジジイとその予備軍は、そこを間違うと恥の上塗りだ。せめて汚らしくならないよう、身だしなみには気をつけよう。
冨永 格