映画「沖縄スパイ戦史」、メディアで高い評価 73年たっても「癒えない傷」がある・・・

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   女性監督二人が作った一本のドキュメンタリー映画が、メディアを席巻している。「沖縄スパイ戦史」(製作:DOCUMENTARY JAPAN、東風、三上智恵、大矢英代。114分)。

   子どもまで戦士に仕立て上げるなど、余り知られていない沖縄戦の深層に追ったものだ。朝日、毎日、読売、日経、東京新聞やTBSラジオでも紹介された。2018年7月28日から東京・東中野のポレポレ東中野で公開されている。台風接近にもかかわらず、初回は満席でパイプ椅子まで出る盛況だった。

  • 舞台あいさつにて、監督の三上智恵さん(左)と大矢英代さん
    舞台あいさつにて、監督の三上智恵さん(左)と大矢英代さん
  • 舞台あいさつにて、監督の三上智恵さん(左)と大矢英代さん

沖縄に土地勘がある二人が組む

「山中にこもった少年ゲリラ部隊、波照間島民の強制移住、北部の日本兵による住民虐殺。陸軍中野学校出身者らが沖縄で展開し、多くの住民も口を閉ざす秘密戦に迫る」(日経新聞)
「軍によってもたらされた悲劇を語る住民たちの怒りを、カメラは正面から受けとめる。軍は住民同士を監視させ、スパイの嫌疑がかけられた人物の殺害には住民も関わったという。沖縄戦から70年以上たっても、その傷口は生々しい」(読売新聞)
「少年を洗脳して戦場に送り出すのは、イスラム過激派と同じ・・・戦争体験を振り返る映画でも沖縄の痛みを訴える映画でもない。有事になれば同じことが今でも日本中で起こり得る。その現実を浮き彫りにした映画だ」(毎日新聞)
「私たちは自(おの)ずと明快な教訓を得る。すなわち、軍は国民を守らず、利用するだけだ。自衛隊は? 同じだと元自衛官が証言する」(朝日新聞)

   監督したのは、三上智恵さんと大矢英代(はなよ)さん。三上さんは1964年生まれ。毎日放送、琉球朝日放送を経て独立。アナウンサー、ディレクターとして多数の硬派作品に関わり、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、テレメンタリー年間最優秀賞、ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞などを受賞している。映画作品は「標的の村」(2013年公開、山形国際ドキュメンタリー映画祭市民賞および日本映画監督協会賞、キネマ旬報文化映画ベストテン1位)など4作目。大矢さんは1987年生まれ。琉球朝日放送記者を経て独立。学生時代から八重山諸島の戦争被害を取材し、本作が初の映画作品。米国での取材も担当している。

   三上さんはアナウンサー出身だけに声が朗々としている。大矢さんはまだ若い。初日の舞台挨拶に登場した二人の華やかさと、映画の深刻さ、重々しさとは大きなギャップがある。逆にそれが、お年寄りに胸の内にしまいこんでいた思いを語ってもらうということではプラスに作用したのかもしれない。

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