「朝鮮通信使」の影響を映す
建仁寺両足院の貴重な文物を調査

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朝鮮通信使の応接を担った建仁寺の禅僧たち

   朝鮮通信使が来日していた間に、建仁寺からはのべ32人が以酊庵に赴任しているという。そのため、両足院にも当時の資料が多く残されているのである。

「以前、京都国立博物館が両足院さんの悉皆調査(しっかいちょうさ/対象をもれなく調査すること)は行っているのです。その時担当された先生にご紹介いただいて、伺うことができました」

   多くの人に開かれている建仁寺の方丈とはことなり、威厳ある両足院の門は当時閉ざされており、訪問者は横の通用口の呼び鈴を押して返答があってから入る。片山も最初は緊張したというが、何度も通った今では、住職一家や手伝いの人たちともすっかり顔なじみである。

   京都国立博物館が行った悉皆調査の期間は1週間。限られた時間の中では調査の対象も貴重な文物が中心にならざるを得ない。片山はそれ以外のものも整理分類して整理台帳を作り、両足院のホームページで目録と画像を公開したいと考えた。それなら両足院のメリットにもなるし、今後の研究者たちに役立ててもらえる。一見「お宝」と思えないものでも、朝鮮文化の特徴を今に伝え、人々の暮らしを感じさせるものもまた貴重である。

   ただし調査には時間とお金が必要である。見積もりを作り、韓昌祐・哲文化財団に添えて助成金を申請したところ、満額が助成されることが決まった。

「地味なテーマですので、こちらの財団でなければ助成はしていただけなかったと思います」

公益財団法人韓昌祐・哲文化財団のプロフィール

1990年、日本と韓国の将来を見据え、日韓の友好関係を促進する目的で(株)マルハン代表取締役会長の韓昌祐(ハンチャンウ)氏が前身の(財)韓国文化研究振興財団を設立、理事長に就任した。その後、助成対象分野を広げるために2005年に(財)韓哲(ハンテツ)文化財団に名称を変更。2012年、内閣府から公益財団法人の認定をうけ、公益財団法人韓昌祐・哲(ハンチャンウ・テツ)文化財団に移行した。

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