世代の悪弊を断つ 犬山紙子さんが痛男に「面倒くさい先輩になるな」

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世代共通の「体臭」

   世代(generation)の語源は「生み出されしもの」。時代が世代を生み育て、時代はまた世代に創られるという、ニワトリとタマゴの関係である。それぞれの世代は特有のニオイをまとい、周囲に漂わせる。日本では長らく社会との関りが深かった男性のほうが「世代の体臭」は強いかもしれない。

   犬山さんが「若者にすり寄るべきだとは思わない」と書くように、より上の世代にもいいところはある。他方、悪弊のほうは意識して自分たち限りで終わらせよう、次世代に押しつけるなかれ、というのが上記エッセイの趣旨である。

   私は1950年代半ばに生まれた「ポスト団塊」のアラ還で、物心ついた頃からテレビと二人三脚で、高度成長の中で育ったグループに属している。30歳前後でバブルを経験、パソコンとインターネットの情報革命は、すでに職場で中堅と呼ばれる頃にやってきた。

   団塊ほどのエネルギーや自意識はない代わりに、周囲とそこそこ協調し、組織全体の潤滑油にはなれる、そういう「つなぎ世代」かもしれない。おのずと「体臭」は薄く、世代単位の悪弊や、断ち切るべき「負の連鎖」はさほどないと考える。思いつかない。

   もっとも、自分のニオイは気づきにくいもの。PC画面の裏でいま、「そんなどっちつかずが鼻につくんだよ、あんたら」という声がしたぞ。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)

コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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