女性美の進化と劣化 齋藤薫さんが許すマイナス要素は一つまで

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女はつらいよ?

   女性であること、あり続けることは厳しいものだ。負の要素が二つでもうダメ、しかも足し算ではなく掛け算でマイナスのベクトルが太くなっていく、というのだから。

   そんな「おんな道」を全うするには、齋藤さんのような、優しくも厳しいナビゲーターが必要なのかもしれない。心身の美しさを指南し、啓発してくれる大先輩、ご意見番として、彼女は20~30代中心の購読層から深く信頼されているのだろう。

   もちろん「キレイになるって、面白い!」というVOCE的な生き方をよしとしない、あるいはついていけない女性もいるはずだ。小顔がどうした、美眉がなんだと。

   男性の場合、容姿の三大コンプレックスは、低身長、肥満、薄毛とされる。実際にはどれもカナ2字の不快語で表現されるが、中高年のオッサンなら二つくらいたやすく揃う。ただ、いざとなれば「男は見た目じゃない」という呪文が救ってくれる。経済力、包容力、義理人情...さまざまな逃げ道が男には用意されている。ほんと男で助かった。

   女性誌の不思議ワールドに初めて足を踏み入れ、さまよいつつ思うのは、美を追い、美に追いかけられる人生はしんどいなあということだ。もっともビューティー誌の読者は、ネイルの手入れでもしながら「それが面白いのよ」と言うに違いないのだが。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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