デジタルアート集団「チームラボ」の新しい大型ミュージアム「チームラボプラネッツTOKYO DMM.com」が2018年7月7日、東京・豊洲にオープンする。いわば体全体で感じるミュージアムだ。柔らかな足元にすくわれながら前進する。水面に美しい色彩で鯉が描かれ、その水にひざ下までつかりながら歩く。大きな無数の球体が浮遊し、鮮やかに色を変えながら風でひろがったりぶつかったりする。記者自身も、自分の肉体で体感した。
ひとつひとつの作品は巨大だ。光で彩られた「The Infinite Crystal Universe」、花が宙を舞う「Floating in the Falling Universe of Flowers」、水面が広がる「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング - Infinity」、そして球体が揺れ動く「変容する空間、広がる立体的存在 - 自由浮遊、3色と新しい9色」の4作品。さらに、「坂の上にある光の滝」「冷たい生命」「やわらかいブラックホール」といった空間を進んでいく。チームラボは、どんなコンセプトのもと今回のミュージアムをつくりあげたのか。
J-CASTニュースは6月27日、チームラボ代表の猪子寿之氏に単独インタビューした。
「他者との連続的な関係」を普段よりも感じられる空間に
――「チームラボプラネッツTOKYO DMM.com」で表現したいこと、伝えたいことを教えてください。
猪子氏 今回は1つの作品が非常に大きく、その作品に、他者と共に身体ごと圧倒的に没入することによって、身体や世界、境界があいまいになるような体験ができるといいと思っています。1つの世界に他者と共に入り、その世界が自分や他者の存在により変化していくことで「他者との連続的な関係」を普段よりも感じられる空間をつくりたいです。
――こうしたコンセプトを大事にされている理由は?
猪子氏 私たち人間は世界の一部ですが、近代都市にいると自分、つまり人間が個として成り立っているような錯覚に陥りやすい。(都市が)より高度に、複雑に発展したことで連続性というものがより見えにくくなっているからだと思うのです。そこで、自分の身体の境界をなくすような体験をすることで、世界との関係、見方が変わるようにしたい。
――初めに、水が流れている滝や、足元が柔らかくて思うように進めない部屋がありました。
猪子氏 作品を体験する前に、これらの場所を通り抜けることで、普段失っている身体性を自覚していただく。そのうえで身体ごと作品に入っていただきたいと思いました。それぞれの作品では、視覚的な錯覚を利用したり、水の中に入ったりするように物理的に体ごと没入させる。球体の作品は、球状に広がる光の塊の中に体ごと入っていく。それを体で押しのけながら進んでいく――。
――普段我々が体験できないような体験ができる、ということでしょうか
猪子氏 そうですね。ここは4つの作品が本当に巨大で、ひとつひとつが独立しています。巨大がゆえに、圧倒的に没入する。