連日盛り上がりを見せているサッカーワールドカップ(W杯)。快進撃を続ける日本は選手の活躍だけでなく、試合後のサポーターの「ゴミ拾い」も注目されている。
このゴミ拾いが「日本の美徳」とメディアで称賛されているが、テレビ局の取材でセネガルサポーターが気になる発言をしていた。
「日本をお手本に?」にセネガル人の答えは...
2018年6月24日夕、ニュース番組「サンデーステーション」(テレビ朝日系)は、日本人サポーターの「ゴミ拾い」を特集した。「世界が"称賛"W杯で広がる日本人の『美徳』」という見出しで、試合後に日本人のゴミ拾いが、英BBCニュースや米誌ニューズウィークで取り上げられていることを紹介した。
「日本のファンはスタジアムの清掃で好印象」(BBCニュース)
「礼儀正しい日本人はワールドカップ勝利後スタジアムの清掃」(ニューズウィーク)
またこうしたゴミ拾いが各国のサポーターに広がっていると紹介し、コロンビア、ウルグアイ、サウジアラビア、セネガルのサポーターがゴミ拾いしている姿を映した。
この放送の夜には、日本―セネガル戦が控えていた。番組はセネガルのサポーターに、こんな質問を投げかけた。
「(ゴミ拾いは)日本サポーターを見てやろうと?」
すると、取材を受けたセネガルサポーターは開口一番「No.」と否定した。
「日本のことは知らないよ。セネガルでもスタジアムでゴミ拾いや掃除をやってるよ」
セネガルには「おもてなし」の意味を持つ「テランガ」という言葉がある。テランガはセネガル代表の愛称「テランガのライオン」にも使われている。スタッフがこれについて聞くと、サポーターはうなずいた。
「そうそう"テランガ"だよ。時々自分たちで町の掃除をやるよ」
取材に批判の一方、異文化理解につながったとも
セネガル戦後、日本とセネガルのサポーターがともにゴミを拾う姿が日本国内の各メディアで報じられた。複数のメディアの報道を見てみると、ゴミ拾いについては「日本の美徳」「日本から世界に広がる」などといった表現が多かった。
6月26日ごろから、先述の「サンデーステーション」のセネガル人インタビューのシーンがキャプチャー画像としてインターネット上で拡散。すると、「質問が失礼すぎる」「ザ・上から目線」など、テレビ局の質問内容に批判的な声がネット上で多く上がった。
一方で、こうしたインタビューをきっかけに他国の文化を知ることができ、「ゴミ拾い文化は日本から生まれたものだとの思い込みが解消されるいい機会になった」との見方もある。