耐震技術の開発の歩みを探る
世界一安全に造られていると言われていた橋はなぜ倒壊したのか?なぜ専門家は大被害を見抜けなかったのか?『地震との戦い なぜ橋は地震に弱かったのか』(著者:川島一彦 鹿島出版会 2,160円)では、1995年の兵庫県南部地震で発生した都市高架橋の倒壊を代表とする、地震動による橋の破壊現象を、耐震設計の歴史を振り返りながら検証する。
同書は2016年度の土木学会「出版文化賞」を受賞した。その理由として同学会は、「関東大震災以後に導入された震度法とその問題点、1990年に導入された地震時保有耐力法、耐震基準の進展、免震・制振技術の導入、海外の耐震技術の状況、東日本大震災で問題となった津波・長周期地震動への対応といった、歴史的な経緯を解説するとともに、大規模実験による橋脚の破壊現象の再現などの研究成果が紹介されている」としている。また専門家である筆者ならではの迫力ある被害状況写真が、一般の人にもわかりやすい。