2016年リオデジャネイロ五輪で112年ぶりに復活したゴルフ競技。日本勢は男子が最高21位、女子は4位と苦戦した。
リベンジとなる2020年東京五輪は2年後と、日本ゴルフ界の底上げが急務だ。卓球やテニス、陸上など他のスポーツを見渡すと10代の「金の卵」が続々誕生しており、ゴルフにおいても若き才能の台頭は必須といえる。
そんな中、東京五輪の"前哨戦"ともいえる国際大会「2018トヨタジュニアゴルフワールドカップ(トヨタジュニアW杯」が2018年6月12~15日、愛知県豊田市で行われた。
日本人選手も参加し、ジュニア世代の「世界ナンバーワンゴルファー」の称号をかけて4日間におよぶ熱戦が繰り広げられた。「次期メダル候補」として大会を制したのはどの国の選手か――。
松山英樹選手を輩出した大会
トヨタジュニアW杯は1992年から開催され、今年で26回目。過去にはリオ五輪金メダルのジャスティン・ローズ選手や日本の若きホープ・松山英樹選手も出場した。若い世代のアスリート支援を目的に、トヨタが2002年から協賛している。
今大会は、70以上の国と地域で行われた予選を勝ち抜いた18歳以下(大学生を除く)の選手が一堂に会し、国別対抗戦(個人戦・チーム戦)を展開。男子は15か国・60人が、女子は9か国・27人が参戦した。
日本からは、以下の選手が出場した。いずれも日本アマチュアゴルフランキングの上位に名を連ね、将来有望な若手だ。
<男子>
・中島啓太(17)
・鈴木晃祐(17)
・小寺大佑(16)
・久常涼(15)
<女子>
・安田祐香(17)
・西村優菜(17)
・古江彩佳(17)
女子が3年ぶり快挙、2位の強豪・韓国に10打差
男子は4人中上位3人の合算スコアで争われ、結果は4位だった。世界の壁は厚く、1位のデンマークに12打差をつけられた。日本アマランキング3位とプロ注目の中島選手は14位の結果だった。
一方、女子(3人中上位2人の合算スコア)は3年ぶりの快挙を達成した。前々回、前回ともに米国に敗れ2位だったが、今回は見事優勝。2位の強豪・韓国に10打差と圧巻の強さで栄冠を手にした。
それもそのはず。女子は日本アマランク上位3人で結成した"ドリームチーム"で、個人戦でも上位を総ナメしている。同率1位(10アンダー)に安田選手、3位西村選手(9アンダー)、4位古江選手(6アンダー)だった。
西村選手と古江選手は前回のトヨタジュニアW杯にも出場していたが、個人成績はそれぞれ5位、16位と思うような成績を残せなかった。だがこの1年、着実に実力を伸ばし今大会で見事結果を出した。安田選手は昨年からめきめきと頭角を現し、2017年「日本女子アマ選手権」で優勝、女子プロゴルフツアー「宮里藍サントリーレディス」ではベストアマチュア賞を獲得するなど"最強アマ"の呼び声も高い。
大会3日目を終えた直後、3選手に目下の目標を聞くと、そろって「プロ試験合格」と答えた。その後はどうか。安田選手、古江選手は「賞金女王」を見据え、西村選手は海外志向が強く、「将来的には米女子ツアーに出場したいです」。
2020年の東京五輪については、3人ともに「出たい気持ちはある」が、まずはプロ転向後に結果を残さなければならない。3人より少し年上の選手には、勝みなみ選手、新垣比菜選手、畑岡奈紗選手ら「黄金世代」と呼ばれる1998~99年生まれの「スター軍団」もおり、簡単ではない。
だが2000年生まれの3人が2年後、女子ゴルフ界を席巻し、東京五輪で活躍する姿を期待したいところだ。