気を動かすマエストロ
指揮者は演奏しない唯一の楽団員。その役目は気を動かすことなのだという。楽団員を鼓舞し聴衆に気を送る。聴衆の心のひだから送られてくる気を背中で受け止め、ステージと客席の気を一体にしていく。
佐渡は、「音楽に対して誠実であること」と「演奏家と誠心誠意向き合うこと」を常に心がけている。一緒に音楽をしたいと思ってもらえるために、言葉にはできない象徴性と人間的魅力が必要だという。こうした人間関係が指揮者と演奏家の間に生まれると、mustがwantに、変わり、演奏家がよりよい音楽をすすんで届け始めるのである。
2013年、ウィーン楽友協会大ホールを本拠とするトーンキュンストラー管弦楽団から、佐渡は音楽監督を依頼された。任期は2022年まで。ウィーンを代表する楽団の指揮者を七年間務めるのである。その佐渡が、2016年、18年と二度にわたり日本ツアーをしている。今年は半月で13回、バーンスタイン生誕百年記念に花を添える気迫の公演だ。その後ろ姿にあらゆる人々が共感する。
音楽は人と人の絆。感動の渦。そうした音楽哲学をもち、聴衆に元気に、明るく語りかけてくれる佐渡裕さんのご活躍をお祈りします。
経済官庁 ドラえもんの妻