ウェブのバブル 中川淳一郎さんは「あと3~5年」と警告する

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4年続けて二桁成長

   電通によると、日本の総広告費は2017年、前年比1.6%増の6兆3907億円で6年続けて前年を上回った。旧来のマスコミ四媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)が2.3%減なのに対し、インターネット広告は15.2%増と二桁成長を続けている。実額の1兆5094億円は中川さんの言う通り、テレビ(地上波+衛星)の1兆9478億円に迫る。

   ただ、ネットにつぎ込まれる広告費は旧媒体からの「乗り換え」で、いわゆるパイの奪い合いである。メディア自体が日本語だから、アクセスする人の多くは減りゆく日本人...となればネットの日本語広告、すなわちパイ全体が膨らむことはなさそうなのだ。

   上記コラムの副題は「私も英語で漫画ブログやろうかしら」。いわば共通言語のマンガはさておき、英語が相手にするウェブ市場は数十億人、これに対し日本語市場は1億人。そういうことである。新聞もテレビも同じこと。そこそこの人口と、言葉という障壁=防波堤で世界市場の荒波から守られてきたメディア産業の宿命だろう。

   私は超オールドメディアに40年近く身を置き、還暦を過ぎてネットにお邪魔した新米。だから、玄人からいきなり「バブルはあと数年」と宣言されると身につまされる。

   中川さんには、〈恐ろしいことに、ネットはバカに発信力を与えてしまった〉という至言がある。ツイッターやブログなどを念頭に置いた言葉か。バカも利口も、私のような人畜無害も、しょせん「縮む井の中の蛙」ということになる。バブル後もゲロゲロとやり続けるには、鳴き声に磨きをかけるか、井戸から飛び出すほかない。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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