福山雅治、40代最後の夏
手にした「年齢相応」

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

彼にしか歌えない「夏歌」

   今回のドームツアーの聞き所の一つが中盤に用意されていた「夏歌コーナー」だった。自分の曲の中で「夏」をテーマした曲を並べる。「イメージの向こう側へ」と歌う「虹」、祖母の家に遊びに行った子供の頃を歌った「蜜柑色の夏休み」、8月の空と海の青さを歌った「あの夏も空も海も」と続いた後だ。青い海をバックに「また夏がくる」「あの日、8月9日」というテロップが映しだされる。

   「当たり前のようにやってくる夏」「しかし、当たり前ではない」という文字は彼が2015年の8月9日に日産スタジアムで行ったライブ映像とともにだった。

   福山雅治の夏。エレキギターを買った1984年の夏、ブラスバンドで平和大行進に参加した1983年の夏、平和教育の夏休みの宿題が「祖父母の戦争体験を聞く」だった1979年の夏、1976年、1974年と遡り、生まれたばかりの1969年の夏の写真になる。祖父母の夏、両親の夏。平和ではなかった夏。「平成最後の夏がやってくる」の文字で始まったのがアルバム「HUMAN」に入っていた「クスノキ」だった。長崎の爆心地の神社で被爆しながら奇跡的に生き残ったクスノキを歌った「我が魂の歌」。彼はピアノとバイオリンの演奏に生ギターで加わる。黒柳徹子が通った学校の夏休みをテーマにした2017年の「トモエ学園」の中の「自由」「幸せ」の意味が違って聞こえた。誰にでもある季節としての「夏歌」から彼にしか歌えない「夏歌」。締めくくりはアカペラで始まる「道標」だった。

   そんな6曲を歌い終えた後に口にしたのが冒頭にあげた言葉だった。

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

姉妹サイト