消える大学と生き残る大学の違い
恒常的な定員割れを引き起こし、人材的にも財力的にも大学を経営するだけの能力に欠ける、弱くて小規模な弱小私大を「限界大学」と名づけた。18歳人口が再び減少傾向に入る2018年以降、私立大学の定員割れが加速し、経営困難校の公立移管や統合、閉校が相次ぐのは避けられないと見られている。『消えゆく「限界大学」 私立大学定員割れの構造』(著者:小川洋 白水社 2,160円)では、戦後の教育行政の変遷や生徒を送り出す高校側の事情などを踏まえたうえで、統計データを駆使しながら、弱小私大のさらなる弱体化の背景と、定員割れの実態、そのメカニズムに着目し、その歴史的経緯にまでさかのぼって検証する。
「試練に立たされる弱小私大」「どのような大学が定員割れしているか」「短期大学とは何か」「新たな大学像」「弱小私大の生き残る条件」ほか全9章。
著者は埼玉県立高校教諭として勤務。並行して、国立教育政策研究所の協力者として日本の高校教育とアメリカやカナダの中等教育との比較、研究する小川洋氏。