パナソニックは「補聴器の日」である2018年6月6日、野鳥のさえずりで難聴の早期発見・早期対処に向けた「聴きとる力」が確認できるウェブサービス「聴き鳥テスト」を公開した。
同日朝には、このサービスの体験会を東京・高尾山で開催した。20代~70代までの参加者がバードヒアリングを楽しみながら、「聴き鳥テスト」を試した。J-CASTトレンド記者も同行した。
高音が聴こえないのは難聴のサイン
「聴き鳥テスト」は、携帯端末の位置情報から現在地を測定し、その近くで生息が確認されている野鳥を画面上に表示。その中から鳥を選択し、鳴き声を確認することができる。
この鳥の鳴き声が、利用者の聴きとる力を判断する材料になる。例えば、ヤブサメという鳥の鳴き声は約8000ヘルツとかなり高音だ。補聴器の開発・製造・販売を行っている「パナソニック補聴器」の光野之雄氏は取材に対し、一般的に人間は2万ヘルツくらいまで聴こえるのが正常とされているが、難聴になると8000ヘルツ以上の高音領域が聴きとれなくなると説明した。
このヤブサメは、高尾山にも生息している。参加者に取材したところ、実際に本物のヤブサメの鳴き声を聴くことができ、「聴き鳥テスト」上でも確認できたという。中には、補聴器を使用することによって聴きとれた人もいた。
なお、「聴き鳥テスト」には60種の鳥データを収録した「聴き鳥図鑑」というコンテンツがあり、このヤブサメも収録されている。
聴力検査を積極的に受ける人が少ない
光野氏は、「耳鼻科などで聴力検査を積極的に受けようという人は少なく、自身が難聴になっていることに気づかない人が多いのが現状」だと話す。
日本補聴器工業会が実施した調査「JapanTrak 2015」の結果をもとにパナソニック補聴器が独自に算出したデータによると、加齢性難聴は50歳ごろから始まり、65歳以上の日本人の約半数は加齢によって言葉の聞き取りが困難になっている。
難聴は放置すると悪化し、認知症につながることもある。2015年1月に政府により策定された「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)では、難聴が認知症発症に影響を及ぼすことが示されている。
パナソニックは、難聴の早期発見や認知症のリスク軽減のためにも、聞こえにくいと感じたら耳鼻咽喉科で診察を受けることを勧めている。その前段階で、自身の耳の具合を把握するうえで、この「聴き鳥テスト」が活用できそうだ。
聴き鳥テストは、iOS 10.0以上もしくはAndroid 6.0以上のスマートフォンであれば利用できる。