フルートソナタをヴァイオリンソナタに プロコフィエフ「ソナタ 第2番」大成功秘話

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戦時中の曲とは思えないエネルギーみなぎる

   まだまだ大戦が続く1944年、オイストラフの助言を得ながら、ピアノパートはそのままであるものの、フルートからは少し音型を変えてヴァイオリンパートを作り、完成します。

   フルートソナタとしては最初の曲でしたが、ヴァイオリンソナタはすでに第1番があったので、「第2番」ということになりました。もちろんオイストラフのヴァイオリンによって初演された「ヴァイオリンソナタ 第2番」は評判となり、結果的に、こちらのヴァイオリンパートから、フルートパートに「逆輸入」する形で、フルートソナタも手を加えられ、現代では両方の楽器で頻繁に演奏される名曲となっています。

   第1楽章の出だしこそ少し憂鬱な雰囲気も感じられるものの、軽快な第2楽章に、活発な最終第3楽章という構成のこの曲は、とても戦時中の大変な中で書かれたとは思えません。プロコフィエフのエネルギーみなぎる曲は、ヴァイオリンで脚光を浴び、結果的に「元ネタ」であるフルートの曲としても名曲の評価が定着しています。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。
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