戦時中の曲とは思えないエネルギーみなぎる
まだまだ大戦が続く1944年、オイストラフの助言を得ながら、ピアノパートはそのままであるものの、フルートからは少し音型を変えてヴァイオリンパートを作り、完成します。
フルートソナタとしては最初の曲でしたが、ヴァイオリンソナタはすでに第1番があったので、「第2番」ということになりました。もちろんオイストラフのヴァイオリンによって初演された「ヴァイオリンソナタ 第2番」は評判となり、結果的に、こちらのヴァイオリンパートから、フルートパートに「逆輸入」する形で、フルートソナタも手を加えられ、現代では両方の楽器で頻繁に演奏される名曲となっています。
第1楽章の出だしこそ少し憂鬱な雰囲気も感じられるものの、軽快な第2楽章に、活発な最終第3楽章という構成のこの曲は、とても戦時中の大変な中で書かれたとは思えません。プロコフィエフのエネルギーみなぎる曲は、ヴァイオリンで脚光を浴び、結果的に「元ネタ」であるフルートの曲としても名曲の評価が定着しています。
本田聖嗣