楽観的に楽しむ組織
著者が強調するのは「宇宙船地球号」という理念。地球の健康維持には黄色信号が灯っている。経済と環境を統合するために文化の役割が不可欠となっている。エネルギーとお金を幸せの中心に考える生き方を見直すことは避けられない。
組織で働くわれわれ個人には、人生を計画するのか、漂流するのか、デザインするのかを問いかける。金銭的な報酬以外に、社会のために創造的な成果を繰り返し生む機会を与えられることも人生のかけがえのない報酬ではないかと。
組織の経営者には、社員がデザイン思考であるために、六つの要素を兼ね備える組織運営を推奨している。(1)新しいことに取り組む余裕があること、(2)日々の変化に対応しようとする柔軟性があること、(3)発案者をほめるのではなく全員をほめること、(4)社内社外の生声に耳を傾けること、(5)企業の進路に包括的な目標があること、(6)社内でデザイン思考が進む中で適切な修正を経営幹部が行えること。
これらを通じて感じることは、人間中心にものごとをとらえ、楽観的に実験的な取り組みを楽しむことの大切さ。2009年の著作であるが、いまの日本の組織経営に欠けている点ではないか。コンプライアンスや過ちの謝罪に意識が偏ることなく、果敢に経営の舵をとり、売り上げの拡大に成功する企業が一社でも増えることを期待したい。
経済官庁 ドラえもんの妻