毛髪関連事業のアデランス(東京都新宿区)は、2018年4月20日に「グローバルCSRに関する説明会」をアデランスADビルにて行った。
パネルディスカッションには、2012年のロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪で女子自転車競技・団体追い抜きに出場し、2大会連続金メダルを獲得した英国の元自転車競技選手、ジョアンナ・ロウセルさんが登壇。毛が突然抜け始め、重症化すると頭髪が全て抜けてしまう症状の「脱毛症」について、自身の経験を話した。
ウィッグを付けないで表彰台に立つ
パネルディスカッションではロウセルさんの他に、アデランス・ヨーロッパの顧問を務めるリン・ハリスさん、髪の毛を失ってしまった子供に寄付された人毛で医療用ウィッグを提供する活動を行う「NPO法人 Japan Hair Donation & Charity」(以下、JHDAC)代表理事の渡辺貴一さん、アデランス執行役員の箕輪睦夫さんが登壇した。
アデランスでは、1978年より「愛のチャリティ」という病気やケガなどの理由で脱毛に悩む子供にウィッグを無償提供する活動を行っている。パネルディスカッションには同じく子供へのウィッグ無償提供を行うJHDACが2015年からアデランスのサポートを受けて活動している縁で渡辺さんが参加した。
ロウセルさんは、収集家と呼べるほどのウィッグを所有しており、「瞬時に髪型を変えることができるので、友人がうらやましがる」とのエピソードを語った。
渡辺さんから、脱毛症であるために業績よりも見た目のことについてメディアから聞かれる違和感について問われると、ロウセルさんはこのように答えた。
「ロンドン五輪で初めて金メダルを獲得し、いきなりスポットライトを浴びたような感じになり、怖いという気持ちにもなりました」
「ウィッグを付けないで(金メダル受賞の)表彰台に立ちました。(世間の)誰も気にしないだろうと思っていたのです。しかし、いきなり注目されるようになって、私が脱毛症だと(世間が)気にすることに気づいてしまった...」
ロンドン五輪では世界記録を更新したロウセルさん。ところが、メディアからの質問は脱毛症に集中した。このことを残念に思っていたと明かした。
患者に向けて「語り合うことが重要」
一方でロウセルさんは、五輪の後から脱毛症に関する認知度が上がり、病気のことを理解してくれる人か多くなったのは良い傾向だと評価。
「金メダリストである(自分の)プロフィールを活用して、病気の認知度を上げていきたい」
と述べ、CSR活動などの機会があれば積極的に参加したいと意欲を示した。
最後に、脱毛症の患者に向けて、
「経験を共有していく、また語り合うことが重要だと思います」
と呼びかけた。