「新楽器」クラリネット取り入れたウェーバー ロマン派の時代開いた作曲家の名曲

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ミュンヘンで活躍していた名演奏家と出会う

   そんなウェーバーは、当時まだまだ発達中だった新しい楽器クラリネットのために曲を書く気になったのは、ミュンヘンで活躍していたハインリヒ・ヨーゼフ・ベールマンという名演奏家と出会ったことがきっかけでした。1810年代のこのころ、ウェーバーはドイツ各地を転々として演奏会を指揮したりしていましたが、様々な出会いをもたらしてくれたのです。まず初めに「クラリネット小協奏曲」を2週間という驚異的な速さで書き上げ、宮廷演奏会で披露したところ、バイエルン国王マクシミリアン1世が感激し、すぐにウェーバーに本格的なクラリネット協奏曲を2曲、直々に作曲依頼をしたのです。

   その依頼に見事にこたえて作曲したのが、「クラリネット協奏曲 第1番 ヘ短調 Op.73」と「第2番 ホ長調 Op.74」です。これらも、大変な速さで書き上げられ、ベールマンの独奏クラリネット、ウェーバーの指揮で、次々と初演されました。

   新しい楽器と、新しい時代を切り開いた演奏家と作曲家によって世に生まれたこれらの協奏曲は、今日でもクラリネット協奏曲の重要なレパートリーとして、演奏されています。楽器においても、音楽においても「過渡期」といえる時代でしたが、だからこそ生まれるこのような名曲が存在することも、また興味深い歴史の1ページです。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミエ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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