今日は、現在ではオーケストラの一員として当たり前の楽器であり、吹奏楽においては、管弦楽のヴァイオリンの位置にあって旋律を奏でる重要な楽器「クラリネット」と、その協奏曲、ウェーバーのクラリネット協奏曲をとりあげましょう。
突然18世紀初頭に登場した木管楽器
オーケストラの中の木管楽器というと、現在は金属製ですが、昔は木で作られていたフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、が主要な4つです。フルートの音域が高いピッコロや、オーボエと似ているが音の低いコーラングレなども曲によっては登場しますが、基本の木管楽器はこの4種類で統一されているといってもいいでしょう。しかし、この4つの中で、クラリネットだけは「新参者」なのです。
形と材質は変わっても、フルートは連綿とバロック時代から使われていましたし、オーボエは、17世紀ごろ誕生し、初めて弦楽だけの楽団に加わった管楽器だといわれています。低音を受け持つファゴットも16世紀後半には登場が確認されています。いずれも、現代の楽器とはかなり異なるものではありますが、「同じ楽器の昔の形」がありました。
ところが、クラリネットだけは、突然、18世紀の初頭に登場したのです。フランスに原型となる「シャリュモー」という楽器が存在したといわれていますが、現在でもシャリュモーについてはあいまいな点が多く、それはあまりメジャーな楽器ではなかったということ。現代では世界で広く作られクラシックではもちろんのこと、ジャズなどでも幅広く使われるクラリネットの存在感とはかけ離れたものと言わざるを得ません。
ともかく、バロック時代には、クラリネットは全く存在せず、古典派の時代でも、モーツァルトは、まだまだこの新参楽器の音程の悪さを指摘し、一部の交響曲にしか登場させていません。クラリネットの本格的活躍は、「ロマン派以降」ということになるわけです。