打てばホームラン、投げれば奪三振。大リーグ、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手(23)が大活躍だ。ベーブ・ルース以来99年ぶりの「夢の二刀流」だと全米も驚愕している。一方、ベテランのイチロー選手(44)は6年ぶりに古巣シアトル・マリナーズに戻り、元大リーガーの松坂大輔投手(37)は中日ドラゴンズで新たなスタートを切った。今週は3選手を中心に野球の魅力とその人生について紹介したい。
J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://books.j-cast.com/)」でも特集記事を公開中。
3試合連続本塁打、早くも週間MVP
初打席で初安打、初登板で初勝利、3試合連続本塁打も飛び出して、9日(2018年4月)には週間最優秀選手(MVP)に選ばれた。米国の実況アナウンサーに「オオタニサン!」と呼ばれ、大谷は早くも全米の心をつかんだようだ。
『Number 950号 MLB 2018 DREAM OPENING 大谷翔平 夢の始まり』(編・文藝春秋、文藝春秋、600円)は、MLB開幕特集号として大谷のロングインタビュー「僕はまだ何も変えていない」をはじめ、23歳の野球少年の「夢の始まり」を大特集した。
コラム「ベーブ・ルースと大谷翔平 2つの革命」、先輩大リーガーの吉井理人、福留孝介の両氏が語る「二刀流のとてつもない可能性」、もう1人の野球少年マイク・トラウト(エンゼルス)の「世界一の選手を見逃すな」など盛り沢山だ。今季(2018年)も期待されているイチロー、ダルビッシュ有、前田健太投手も取り上げている。
野村流の辛口もある「イチロー論」
「正直に言う。私はイチローが好きではない。しかし、彼の才能に最初に目をつけたのはこの俺だ」と語るのは、名選手であり、名監督であり、野球殿堂入りを果たした野球評論家の野村克也氏だ。その野村氏が論じたのが『野村のイチロー論』(著・野村克也、幻冬舎、1188円)。キャッチコピーには、「天才イチローvs.凡人野村 究極の人間論」とある。
第1章には「イチローは本当に天才なのか」と、「選球眼ならぬ『選球体』」「変化球を待ちながらストレートを打つ」「つまらせるのも技術のうち?」「努力の天才」と各角度からバッティングを分析する。
第6章には「イチローは変わったか」と問いかけ、「イチローを認めなかった私」「チームで浮いていたイチロー」「マスコミ軽視はファン軽視」「WBCで変わったイチロー」など野村流の辛口もあり、野球ファンには読まずにはおれない1冊だ。
流行語「リベンジ」が生まれた名勝負
ソフトバンクを戦力外になった中日ドラゴンズの松坂大輔が巨人戦でデビューした。勝利にはならなかったが、大きな歓声が飛んだ。『1999年の松坂大輔 歴史を刻んだ男たち』(著・長谷川昌一、主婦の友社、1512円)は、その松坂が西武の「怪物ルーキー」と呼ばれていたときの熱戦を振り返る。
パリ―グを代表するロッテの黒木知宏投手との投げ合いは「平成の名勝負」といわれた。松坂は惜しくも敗れ「必ずリベンジします」と宣言、「リベンジ」はその年の流行語大賞に選ばれ、社会現象になった。
本書ではこのほか、最長となる実働29年の捕手・中嶋聡の「幸運なキャッチャー」、1987年の日本シリーズ西武対巨人戦の「伝説の一瞬―西武の走塁革命」、連続フルイニング出場の世界記録を打ち立てた金本知憲の「世界記録と2つの危険球」、それぞれ球史に残る物語を収録している。