経営破綻から復活した日本航空 すべては社員の意識改革から始まった

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「常に謙虚で素直な気持ちで」

   入社一年目でJALが経営破綻し、予定されたパイロット訓練が取りやめになったとき、「私はなにも会社に期待しない。会社を変えます。パイロット養成を再開できる企業にしたい。何をやれば良いか?」と尋ねた社員がいた。彼は、会員獲得のために、朝昼晩、小学校、中学校、高校、大学の卒業生名簿に電話をかけ続け、社内勉強会の講師となり、JALカード会員獲得の先頭に立った。彼の行動は、JALフィロソフィーの体現事例として語り継がれている。

   「常に謙虚で素直な気持ちで」という一項目があるが、私たちにできるだろうか。航空機の操縦桿を持ち、何百人もの命を預かる人物だからこその使命感。日本航空には、命懸け、本気、の言葉にふさわしい社員がたくさんいらっしゃる。

   あるご夫婦から「HとJはとなりの席ですか?」と尋ねられ「夫婦の間には愛がありますが、飛行機の座席にIはないんです。」と答えたスタッフ。

   「まだ実習生ですね。いつかフェイスブックのJALのページに載るのを楽しみにしていますよ」と、ミスを許してくれた搭乗客に涙するスタッフ。

   彼女たちは、お客様との心のふれあいに本気になっている。日本航空の翼に「鶴丸」が戻って6年、軌道に乗る経営を象徴する2つのコメントで締めくくりたい。いずれも、私たちの職場に通じる生き方、考え方のように思える。

「お客様が100人いらしたら100通りの接客がある。お客様の心を感じ取って、いかに寄り添うことができるか。それができて初めて、おもてなしや感動につながっていく。やはり心が大事です」
「リーダーはお手本。長く働いたらこうなっていく、そうした道のイメージを作っていくのもリーダーの仕事。服装も身だしなみも。リーダーが楽しんで、仕事に誇りを持つ。そういう姿勢が何より大切だと考えています」

   人工知能の活用、LCCとの競争に直面しながらも、自信を持って事業活動に邁進する日本航空のこれからに期待するとともに、多くの上場企業が自信を持って海外に事業展開するようになることを期待したい。

経済官庁   ドラえもんの妻

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。
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