経営破綻から復活した日本航空 すべては社員の意識改革から始まった

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動機善なりや、私心なかりしか

   稲盛会長の心に去来したのは、民営化後のNTTに対抗してDDIを設立した当時の公憤の心だったのではないか。電電公社という独占体制による高い通信料金を自由化で変える。背中を後押ししたのは、ウシオ電機の牛尾次朗会長、セコム創業者の飯田亮氏、それにソニー創業者の盛田昭夫氏だった。

   動機善なりや、私心なかりしか。

   立派な企業が経営を硬直化させて、業績が低迷し、あるいは不祥事が起きるのは、会社全体を律する哲学や思想があるかないかが大きい。稲盛氏が、その思いを日本航空の再建にいたすとき「全従業員を物心両面から幸福にする」という経営目標のもと、JALフィロソフィーはわずか十か月で完成した。

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。
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