今日は、チェコを代表する作曲家アントニン・ドヴォルザークの室内楽、ピアノ三重奏曲 第4番 Op.90「ドゥムキー」を取り上げましょう。
無類の鉄道好きだった
1841年、現在ではチェコの首都となっているプラハの北30キロほどの小さな町に生まれたドヴォルザークは、苦学して音楽の道に進みました。実家の両親は音楽を職業にすることに反対し家業の食料品店を継がせたかったのですが、彼の才能に着目した音楽の教師たちが少年にプラハに出て学び続けるよう勧めたのです。
この時のプラハはまだハプスブルグ家の帝国の一都市に過ぎず、チェコ民族主義の高まりはあったものの、首都となるのはオーストリア帝国が崩壊する第1次大戦後と、まだまだずっと後のことでした。
余談ですが、ドヴォルザークは、無類の鉄道好きとして知られますが、これは、当時のオーストリア帝国の政策で、北のプロイセンに対抗して国の隅々にまで鉄道建設が推進されたため、彼の生家のすぐ裏に、まだ物珍しかった線路が施設されて汽車が走り、幼少期からそれを眺めていたことが影響している・・との説があります。