NOKKO、やっと折り合った
GIRLはWOMANに

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「これが自分のお役目なんだと思えるようになった」

   REBECCAは、95年に阪神淡路大震災のチャリティのために再結成され、横浜アリーナでライブを行ったものの、その時は単発的な形で終わった。2015年、最後の武道館ライブから25年後にまた再会。紅白歌合戦にも出場した。そして、去年、28年ぶりの全国ツアーも行い、ファイナルを武道館で締めくくった。ライブで演奏していた新曲「恋に堕ちたら」はシングルとしても発売された。

   全国ツアーのファイナルとなった武道館を見て驚かされたのは、彼女の声と歌だった。キュートな外見とは対照的なエキセントリックなシャウトは更にエモーショナルになり声量も増していた。何よりも気持ちよさそうに歌っていたのだ。若い頃のギリギリまで上り詰めるような体当たり的な激しさの代わりに当時は表現できなかったと思えるREBECCAらしさすらあった。

   それは同窓会的再結成とは明らかに違っていた。

「全部自分だった、これが自分のお役目なんだと思えるようになったんでしょうね。迷いみたいなものがなくなったんだと思います」

   新作アルバム「TRUE WOMAN」には松任谷由実のオリジナルだけではなく彼女の「翳りゆく部屋」「卒業写真」もカバーしている。いきものがかりの水野良樹、小田和正や山下達郎のステージメンバー、佐橋佳幸、売れっ子プロデューサー、亀田誠治、フランス人キーボーディスト、フィリップ・セス・トリオら、今のJ-POPを支える才能が集まっている。NOKKOのゴスペルのようなフェイクとシャウトは青春から遠ざかってしまった様々な女性の日々の心情を劇的に歌いあげている。タイトル曲「TRUE WOMAN」はこんな風に始まっている。

   「キッチンに鏡置いて 微笑みの練習しているのよ」

   REBECCAが一躍脚光を浴びるきっかけになった85年の両A面シングル「フレンズ」のもう一曲は「ガールズブラボー!」だった。

   あれから38年。GIRLはWOMANになった。

   怖いもの知らずで突っ張っていたあの頃の自分が今、どんな風に見えているのか。「TRUE WOMAN」は、そんなアルバムでもあるのだと思う。

   大人になるということは、若かった頃の自分を知るということなのかもしれない。

(タケ)

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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