「いいね」「リツイート」数多いものが「真実」に
また、大手マスコミが、わかりやすさを追求し、性急な結論を出そうとしたことが、人々の「差別」や「分断」を招いたことの愚かさを声低く問う1冊が、「しあわせになるための『福島差別』論」(清水修二ほか著 かもがわ出版 2018年1月)である。清水氏によれば、このタイトルは、「長時間議論してみんなで決めたものです。福島差別にカッコをつけたのは、『差別だ!』のひとことでバッサリ斬って捨てることのできない、事柄の複雑さを示唆したつもりです。また『しあわせになるための』としたのも、議論の本位・方向性をその点に据えたいからです。すべては人々(とりわけ被害者)がしあわせになるための議論であり、考察です」という。本書に企画段階から参加している、絵本作家・イラストレーターの松野春野氏は、「3.11後はいきすぎた正義感が、差別を生み出す現場を多く目撃したように思います。事実よりも、人の感情を扇動するような意見が支持され、『いいね』や『リツィート』の数が多いものが、いつしか『真実』として幅をきかせました」という。
「過去と他人は変えられない。変えられるのは、未来と自分だ」といわれる。福島をはじめ、子どもたちが幸せに生きるよう、今の大人にはやるべきことはいくらでもある。
経済官庁 AK