ユーミン、「ひこうき雲」
「歴史を変えた一枚」から45年

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「これが見納めになったらいやだな」

   もう一つの功績が「ライブ」だと思う。

   コンサートの質を変えた。

   ステージに象が登場したりエスカレーターやエレベーターやプールが設置されたり、果ては空中ブランコまで取り入れられた。エンターテインメントとしてのコンサートという大命題の追求。繊細なピアノ少女がライブの女王に成長してゆく。

   「ひこうき雲」は、2013年にジブリの映画「風立ちぬ」の主題歌になって再び脚光を浴びた。

   40年前の曲が「最新」の情報として独り歩きする。そこから離れたはずの「過去」が「現在」と一体になるという経験をした現役アーティストは多くない。彼女はどう対処するのだろうと思った。メビウスの輪のようになった時の流れをどう受け止めてゆくか。2013年のアルバム「POP CLASSICO」は、その答えのようなアルバムだった。「POP」と「CLASSICAL」。過去に戻るのでも否定するのでもなく融合され進化してゆく。

   「ひこうき雲」の発売日に始まったそのツアーで彼女はピアノの前に座ることなく「ひこうき雲」もハンドマイクで歌った。それは、ライブアーティストとしての歌への自信と自負の表れのように思えた。

   アルバム発売45年、「SONGS&FRIENDS」のステージでレコーディングメンバー、ティン・パン・アレイと歌い終え、彼らを見ながら「これが見納めになったらいやだな」といたずらっぽく笑う彼女はあどけない少女のようだった。

(タケ)

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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