「女子―ズ」「デスノート Light up the NEW world」など、多数の映画やドラマに出演している藤井美菜さん(29)。近年は韓国をはじめ、海外にも活躍の場を広げている。
J-CASTトレンドは藤井さんのインタビューを敢行。現在公開中の日台合作映画「おもてなし」(2018年3月3日公開)の撮影秘話や、韓国での活動、結婚観について詳しく聞いた。
「決まった時はガッツポーズでした」
―「おもてなし」の出演が決まった時の感想をお聞かせください。
藤井「今回の『おもてなし』という映画は、台湾人と日本人が文化の違いにぶつかりながらも、お互いに歩み寄っていく要素がある作品です。国は違いますが私は韓国で活動しているので、映画の作品性や要素にすごく共感する部分がありました。作品に出演できることがうれしくて、決まった時はガッツポーズでしたね(笑)」
―作品タイトル「おもてなし」とは、どんなものだと思いますか。
藤井「日本人独特の昔から根付いている配慮の気持ちが、『おもてなし』だと思うのですが、今回の映画でハッとさせられる部分がありました。それは台湾のジェイ(・チャン)監督だからこそ目に付いたもの、日本だと当たり前だからすごく特別なものとして扱っていなかったものを、しっかり描いてくださった部分です」
―具体的にどんなところでしょう。
藤井「たとえば京都の撮り方が、日本人の監督の撮り方とは違うような気がしました。京都という街を『日本の美』として撮られてきた監督はたくさんいると思いますが、ジェイ監督ならではの色味や角度というものが画に表れているように思います」
―今回指揮を撮ったジェイ・チャン監督はどんな方ですか。
藤井「(監督の撮影は)テイク数がかなり多く、そこからいいものを抜粋するスタイルでした。私は粘って粘って出したものの化学反応を大事にしたいと思っているので、ちょっと時間はかかったりはしますけど、その撮り方は私にとってはありがたかったです。特にこの現場ではその粘って生まれたものがあった気がしました」
―粘ったのはどんな部分か、教えてください。
藤井「やっぱり英語だったり京都弁だったり、自分がどっかり腰を下ろしていない部分の言葉についての演技だったので、言葉もちゃんと伝えたいし、言葉だけにとらわれず気持ちも乗せていきたいと思っていました。1回で決められたかな、と(不安に)思うシーンもあったので、監督のこだわって何度も撮るというスタイルはありがたかったです」
―では、監督との相性は良かったということでしょうか。
藤井「相性は良かったです。大変でしたけど(笑)」
韓国で学んだ「ケセラセラ」の精神
―日台合作映画ということですが、台湾の印象はいかがですか。
藤井「台湾に行くのも、台湾の方とお仕事するのも初めてでした。日本人と台湾人がお互いに歩み寄っている感じがある中で撮影をするというのが、すごくおもしろかったです」
―映画にはジェイ監督や主演のワン・ポーチエさんをはじめ、台湾の方とはどのようにコミュニケーションをとっていたのでしょうか。
藤井「現場は台湾の言葉と日本語と京都弁、ときどき英語と、たくさんの言語が飛び交っていました。監督は英語も話される方で、私は台湾の言葉がしゃべれないので、(監督とは)英語と通訳さんを挟んで話していました。何か国語も話せる方がいらっしゃる中で、だれに何語を話していいか整理がつかなくて、みんな『違ったー!』みたいなやり取りをしてたりして。すごくそれが刺激的で楽しかったです」
―映画の中では、英語と京都弁を話していましたよね。
藤井「私は京都弁も話せないので、(英語も京都弁も)両方外国語みたいな、ちょっと遠い要素ではあったんですけど、新しい世界に踏み入れた感じがありました。いろんな言葉が新鮮でしたね」
―今回の映画もそうですが、藤井さんはグローバルな活躍が印象的です。英語はあまり自信がないとのことですが、韓国語はいかがでしょうか。
藤井「完璧かはわからないですが、日常的には使っています。もう韓国での活動を始めて6年目に入るので。バラエティー番組とかは通訳なしで参加しています。(そこで)問題ない程度には話せますね」
―韓国での活動はどうでしょうか。日本と違う部分はありますか。
藤井「韓国で学んだことはすごく多くて。『ケセラセラ』の精神を学んだというか。日本っていろんなことをきっちりしていて、それに慣れていたんですけど、韓国に行ったらいい意味でルーズというか、決めきれてない中で何が生まれるか......。何も決めていないままスタートするというのを経験することで、すごく気持ちが自由になりました。それが現場でも生きる気がして。いろんなことに柔軟になれた気がします」
結婚相手に妥協したくない部分は...
―「おもてなし」の中で藤井さんが演じる尚子は、婚約者がいながら別の男性に思われる女性という役柄です。もし藤井さんご自身がこういったシチュエーションに置かれたらどうでしょうか。
藤井「私は結婚していないので、その究極に陥ったことはないんですが、マリッジブルーで迷いのある中で、尚子は元彼に会っちゃったじゃないですか。見ている分には面白いんですけどね。会う時点でどうなのかなと思ったんですが、でも女心としては結婚してからは会えない相手だから、その前に会ってすっきりしようじゃないですけど、気持ちはわからなくもないなと。でも女のちょっとずるいところなのかな、と思いました(笑)」
―もし結婚するとしたら、相手に妥協したくない部分はなんでしょう。
藤井「やっぱり信頼関係でしょうか。そこがしっかり築けていれば、他のこまごましたことは乗り越えられるのかなと思います。今回の映画でそういうことを考えさせられました」
―では最後に、映画「おもてなし」をこれからご覧になる方へ向けてメッセージをお願いします。
藤井「誰しもが経験し得るし、共感できることをすごく丁寧に描いている作品で、絶対に心が動かされるシーン・存在があると思います。本当に老若男女問わず楽しんでいただける作品です。日本の方も、日本の古くから伝わる『おもてなし』や配慮の気持ちを振り返るすごくいい機会になる作品なので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいと思っています」