没後100年の偉大な作曲家ドビュッシー 「弦楽四重奏曲」で新たな道を切り開いた

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フランス近代音楽史上欠かせないレパートリー

   1892年、ドビュッシーは、クラシック室内楽の伝統的な編成である「弦楽四重奏」のために曲を書き始めます。ハイドンの時代から重要視されている弦楽器4つの編成で、ドビュッシーは、今までにないことを試みました。

   それまで、誰も書かなかったような斬新なハーモニー、独特なリズムの組み合わせ、そして、4人の奏者、ヴァイオリン2人とヴィオラとチェロの、誰がメロディで誰が伴奏、というわけではなく、それぞれの楽器が伴奏もすれば、時には主要なメロディを紡ぎだし、かつ、それらが実に目まぐるしくバトンタッチされる...という、以後のドビュッシーの作品スタイルの定番となった技法がちりばめられています。

   1893年に完成したこの曲は、第1楽章の冒頭から力強い4人の同じリズムのメロディーで始まり、約25分をかけて、全4楽章が演奏されます。随所にあふれる緊張感と独特の音の響きは、若いドビュッシーが、それまでの伝統や作品から一線を画し、自らの美学に従って、新たなる音楽を創り出してゆく、という気概を高らかに宣言したかのように聞こえます。

   以後、ドビュッシーは、同編成のために曲は書きませんでしたが、この「弦楽四重奏曲」は、クラシック音楽史上、そしてフランス近代音楽史上欠かせないレパートリーとなって、今日も繰り返し演奏されています。

本田聖嗣

   本田聖嗣プロフィール

   私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミエ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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