「働き方改革」が国会で論議されている。長時間労働の改善、正規と非正規の待遇差の是正、裁量労働制――私たちにとって何がメリットで、何がデメリットなのか。ブラック企業をなくし、ワークライフバランスを実現するにはどうすればいいのか。今回は中小企業の「働き方改革」や、立ち食いそばチェーンの従業員対策など3点について紹介したい。
J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://books.j-cast.com/)」でも特集記事を公開中。
3年前まではブラック企業でした
「3年前まで、うちの事務所は、はっきり言ってブラック企業でした」。『社労士事務所に学ぶ 中小企業ができる「働き方改革」』(著・堀下和紀、労働新聞社、972円)の著者・堀下和紀さんは正直に語る。
本人自身、労務管理のプロなのに、長時間労働が蔓延し社員が次々やめて行く。自分のスタッフを幸せにできないなら、社労士事務所をやっている意味がないじゃないか。そう思って、「働き方改革」を断行した。
その結果、残業削減や女性の活躍によって利益が上がり、人も増えた。「150ページで、法律論も全くありません。2時間程度で読むことができるでしょう。ぜひ、ご一読ください」と語りかけている。
裁量労働制は残業が増えるだけか
「残業するな、と上司がうるさいので、帰ったことにして家で仕事している」「残業はすべて管理職が肩代わり。管理職はいつもゲッソリ」「裁量労働制はお金にならない残業が増えただけ」――1つでも当てはまると思った人は是非読んでほしいと訴える。
『職場の問題地図 「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方』(著・沢渡あまね、技術評論社、1598円)は、職場の問題を図解しながら解決策を提示する。
企業も自治体もこぞって「ワークライフバランス」を唱えてきたが、職場から上がってくるのはタメ息ばかり。著者の沢渡あまねさんは、多くの企業の現場を見て回り、「制度」「プロセス」「個人スキル」「場」の4つの問題点を浮き彫りにし、何をすればいいのか、とことん分析した。
従業員を大切にするポリシーとは
立ち食いそばチェーン「富士そば」は、アルバイトにもボーナスや有給休暇を支給する。社員には年間1000万円を超える報奨金や海外旅行も用意されている。
『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』(著・丹道夫、集英社、799円)は、創業者の丹道夫さんが自ら経営哲学を明らかにしたものだ。名古屋に生まれ愛媛県西条市で育ち、苦労の末に130店舗以上を展開する立ち食いそばチェーンを築き上げた。
「なぜアルバイトにボーナスを出すか」「人を育てるにはどうすれば良いか」と従業員に対するポリシーを語り、商売のコツや経営者の役割についても述べる。作詞家としての顔もあり、最後に「富士そばでは、なぜ演歌が流れているのか」という1章が入っている。