経済を動かすキーワードは分散化
これからの十年、経済を動かすキーワードは分散化だという。情報の非対称性に基づいて構築された中央集権化の仕組みや、非対称性を埋める代理人の仕事が、自立分散の仕組みに置き換わっていく。情報やモノ、サービスを仲介する仕事から、独自の価値を発揮する仕事に置き換わっていくのである。
佐藤さんは、最後に、三つの未来予想をしている。
(1)Facebookの創設者ザッカーバーグが述べているように、人生の目的は、生きる目標を見つけることから「誰もが人生に目標を持てる世界を創ることに貢献すること」に変わる。他者への共感がキーワードになり、マズローの自己実現の先にある利他的な欲求に領域が拡大するのである。
(2)企業活動は、利他的な欲求を満たすために巨額の研究投資を行い新たな技術を開発する。多数の機械がつながり自動的に働く結果、人間はお金や労働から解放される。食べるために働く時代から社会的な価値の実現のために働く時代。ドラッカーが提唱した非営利組織の社会の到来と言えるかもしれない。
(3)ひとびとは、一番居心地のよい仮想空間で長い時間を過ごすことになる。SNSの登場により承認欲求が可視化され、その次には五感を他者と共有する「統合欲求」ともいうべき新しい欲求がブームになるのである。
はじめてFacebookを利用した時、プライバシーが脅かされるのではないかと不安を感じた。それから5年、仕事でも私生活でも、SNSは欠かせない。その経験から、佐藤さんの三つの未来予測に共感する。
内外を旅すると、人口減少がつづく地域や、海外のさまざまな場所で、社会をよくするために懸命に活動する多くの方々に出会う。そうした方々にとって、本書が、佐藤さんの三つの未来予想が、明るい希望となることを願いたい。
経済官庁 ドラえもんの妻