子供の貧困が、社会問題となっている。このまま放置すれば、日本の将来を「支える」はずの子供が「支えられる」側になってしまう。
政府は、子どもの貧困対策にさまざまな対策を打ってきた。そのひとつが、「子供の未来応援国民運動」だ。どんな活動が行われているのだろうか。
子供の進学率アップを目指す
子供の貧困を放置することは、日本の財政に大きな損害をもたらす。
まずは教育面に注目してみよう。全世帯の子供の現役大学等進学率が73.2%(2016年文部科学省調べ)に対して、生活保護世帯の子になると33.1%(2016年厚生労働省調べ)、ひとり親家庭の子は41.6%(2011年以下同)、児童養護施設の子は24.0%(2016年以下同)と、貧困の状況にある子供の進学率は大きく下がる。貧困の状況にある子供の進学率の低さはここ近年だけではなく、10年以上前からのほぼ横ばいで推移している。
2015年に日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが共同で発表した推計によると、2015年当時の15歳の子供のうち貧困の状況にある子供の進学率及び中退率が改善した場合、生涯所得の合計額が2.9兆円、政府の財政が1.1兆円、いずれも増える。
政府は2013年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」公布以来、将来的な日本の財政改善につながる子供の貧困対策に力を入れている。その中でも大きな活動といえるのが、2015年10月に始動した「子供の未来応援国民運動」なのだ。