ビッグデータや人工知能(AI)をいかに事業に活用するか、昨今多くの企業が知恵を絞っている。膨大なデータを日々処理、管理するには、安定的で外部からのサイバー攻撃にも耐えうる強固なインフラが必要となる。
今日、自社のコンピューターシステムだけで賄おうとせず、パブリッククラウドを利用する流れが世界的に見られる。日本でも、アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、グーグルといった米IT企業がクラウドサービスを提供するほか、中国最大でマーケットシェア世界第3位でもある「Alibaba Cloud」が存在感を増してきた。
自社でデータを持つのが不安だからクラウド利用
アリババグループは、電子商取引をはじめ物流、動画などのエンターテインメント、金融サービス「Alipay」と幅広い分野をカバーする中国の代表的なIT企業だ。こうしたサービスを根底で支えているのが、「Alibaba Cloud」。中国市場でのシェアはアマゾンの「AWS」やマイクロソフトの「Azure」といったクラウドサービスを抑え、首位に立つ。
日本では2016年12月から、SBクラウド(本社・東京)がAlibaba Cloudの国内データセンター運用やサービスのローカライズ、日本語サポートの提供を行っている。2018年2月20日、SBクラウド・プロダクト技術部のソリューションアーキテクト、奥山朋氏が東京都内で開かれたITイベント「Cloud Days 2018」で講演し、Alibaba Cloudの仕組みや先進的な事例を紹介した。
中国でAlibaba Cloudが求められる理由に、セキュリティーの堅牢さがある。現在、中国のおよそ4割の企業がAlibaba Cloudのサービスを利用しているが、外部からパスワードを不正に割り出そうとする「パスワードクラック」は、毎日約2億回発生。ウェブサイトへの攻撃が毎日約2000万回、さらに、複数のコンピューターから相手サーバーに過剰な負荷を与えてサービス停止に追い込む「DDos攻撃」は同約1000回起きている。こうしたリスクに耐えうる技術力をAlibaba Cloudは備え、「力強くお客様の情報を守り続けている」(奥山氏)。
セキュリティー面について奥山氏は、J-CASTトレンドの取材にこう補足した。
「日本ではクラウドに対して、漠然とした不安が残っている気がします。一方中国では、自社で(重要なデータを大量に)持つのが危険なため、クラウドに置くという考え方が一般的です」
ネット上の攻撃手法は、日々さまざまなものが生まれている。会社のシステム担当者だけですべてを対応するのは不可能。高いセキュリティーで、かつ安価なクラウドサービスを使うのがより現実的というわけだ。