イタリア・オペラの敏腕プロデューサー ミラノで驚くべき「発明」もしていた?!

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実は「超ブラックプロデューサー」?

   おそらく、コーヒーの発明よりも、弾薬売買よりも、カジノ経営で稼いだバルバヤは、ここで、オペラのプロデューサーとして動き始めるのです。初めは、おそらく、カジノ併設の歌劇場にもっと人を呼ぼう!という動機からだったかもしれませんが、何事にもエネルギッシュなバルバヤは、オペラ・プロデューサーとなると、ヒットメーカー、つまり才能ある作曲家を見つけ出し、作品を書かせ、それを大ヒットにつなげるという、敏腕プロデューサーとしての力を発揮し始めるのです。ミラノ、ナポリの劇場のプロデューサーだけでなく、遠くウィーンの2つの歌劇場のプロデューサーとしても活躍しました。ナポリでの彼の住居は「バルバヤ宮殿」と呼ばれていました。

   彼に見出された作曲家は、ガエターノ・ドニゼッティ、ヴェインツェンチオ・ベッリーニ、そしてドイツ人のカルル・マリア・フォン・ウェーバー、そして、当時最大のヒットメーカー、ジョアッキーノ・ロッシーニなどです。彼らと契約を結び、次々と新作オペラを世に出し、ヒットさせました。彼がプロデュースを手掛けた作曲家とその作品は、現代でも頻繁に演奏されるオペラの名レパートリーとなっています。

   しかし・・・新作が待ち遠しい聴衆の声にこたえた辣腕プロデューサー、バルバヤの契約内容は、作曲家にとっては、過酷なものだったようです。上記の作曲家の中で、ベッリーニとロッシーニはフランスに「逃亡」していますし、ロッシーニはそこで「引退」しているわけですから、さしずめ、黒いコーヒーをアレンジしたドリンク、カプチーノを発明したバルバヤは、現代で言えば「超ブラックプロデューサー」・・・だったのかもしれません!

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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