松生恒夫先生の「ミントと健康」(前編) 「過敏性大腸炎にペパーミント有効か」研究進む

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臨床現場でも治療効果を実感

   ドイツや英国では、症状が軽いIBS患者の代替医療としてペパーミントオイルの有効性が以前から指摘されています。また、2007年にはイタリアでIBS患者をペパーミント含有錠剤と偽薬を与えるグループに分けておなかの状態を比較する試験が行われ、ペパーミントグループで有意な症状改善が確認されました。

   なぜペパーミントがIBSの症状を改善するのでしょうか。後年行われた動物実験で、ペパーミントの主成分であるメントールが神経伝達物質の「セロトニン」と「サブスタンスP」の放出を抑制することが確認されています。

   セロトニンは腸の運動を活発にさせる物質で、IBS患者は食後にセロトニンの放出が活発になっています。サブスタンスPは痛覚の伝達に関係し、腸を収縮させて消化物を運ぶ役割を担う平滑筋に作用します。

   メントールの作用によって、腹痛などを引き起こす腸の筋肉の緊張状態が正常化し、IBSの症状改善効果がもたらされていると考えられます。

   私が考案した、ペパーミントティーにココアパウダーとオリゴ糖を加えた「ココア・ミントティー」でも味と香りで気分が落ち着き、ココアの食物繊維とオリゴ糖の腸内環境を整える作用によって胃腸がすっきりする効果も実感できるでしょう。

   現代ならではのストレスが関係する病気へのミントの効果を、ぜひ皆さんも感じてみてください。(後編に続く)

松生恒夫(まついけ・つねお)
松生クリニック院長。東京慈恵会医大卒業。同大学第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長を経て、2003年東京都立川市にクリニックを開設。日本内科学会認定医。現在までに4万件以上の大腸内視鏡検査を行ってきた第一人者で、地中海式食生活、漢方療法などを診療に取り入れている。著書に『お腹と頭がすっきり! ミント健康法』(廣済堂出版)、『老いない人は何を食べているか』(平凡社新書)、『便秘、冷えにオリーブオイルの腸効果!!』(文化出版局)など多数。

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