臨床現場でも治療効果を実感
ドイツや英国では、症状が軽いIBS患者の代替医療としてペパーミントオイルの有効性が以前から指摘されています。また、2007年にはイタリアでIBS患者をペパーミント含有錠剤と偽薬を与えるグループに分けておなかの状態を比較する試験が行われ、ペパーミントグループで有意な症状改善が確認されました。
なぜペパーミントがIBSの症状を改善するのでしょうか。後年行われた動物実験で、ペパーミントの主成分であるメントールが神経伝達物質の「セロトニン」と「サブスタンスP」の放出を抑制することが確認されています。
セロトニンは腸の運動を活発にさせる物質で、IBS患者は食後にセロトニンの放出が活発になっています。サブスタンスPは痛覚の伝達に関係し、腸を収縮させて消化物を運ぶ役割を担う平滑筋に作用します。
メントールの作用によって、腹痛などを引き起こす腸の筋肉の緊張状態が正常化し、IBSの症状改善効果がもたらされていると考えられます。
私が考案した、ペパーミントティーにココアパウダーとオリゴ糖を加えた「ココア・ミントティー」でも味と香りで気分が落ち着き、ココアの食物繊維とオリゴ糖の腸内環境を整える作用によって胃腸がすっきりする効果も実感できるでしょう。
現代ならではのストレスが関係する病気へのミントの効果を、ぜひ皆さんも感じてみてください。(後編に続く)