一見すると、ごく普通のダブルクリップだが、ツイッター上では「すごく簡単なことだけど誰も気づかなかった」「盲点オブ盲点」などと大きな注目を集めている製品がある。
書類をはさむダブルクリップの新商品「エアかる」だ。大手文具メーカーのプラスが2018年3月1日、発売する。
「てこの原理」を働きやすく
記者は、机の中に眠っていたダブルクリップを久々に使ってみた。今まで特に意識したことは無かったが、これが固い。痛い。レバーをかなり強めに押し、ようやく挟み口が開いた。資料を留めるだけで一苦労だ。
この「欠点」の改良に挑んだのが「エアかる」だ。特徴は2つ。1つは、本体部分に突起をつくり支点の位置をずらすことで、より「てこの原理」を働きやすくした。これにより従来品と比べて最大50パーセント程度の力でレバーが開く。プラス社は「空気のように驚くほど軽く開ける」とアピールする。この仕組みは現在、特許出願中だという。
2つ目は、レバー先端の形状を円形からフラットに変更。指への接地面が増え、フィット感が増した。
だが、なぜ今になって改良に取り組んだのか。同社は60年前からダブルクリップを販売しており、これらの欠点は自明のはずだが......。
開発のきっかけは「需要急増」
「私どもですら従来品と新商品を並べて使ってみると、なんで今までこんな強い力で使っていたんだろう、と不思議に思うほどでした」
プラスの広報担当者は2月15日、J-CASTトレンドの取材にこう答えた。
実は、「エアかる」誕生のきっかけは、ユーザーからの不満ではない。ここ数年、ダブルクリップの需要が急に伸び始めているためだ。
「オフィスにおけるペーパーレス化が進んでおり、紙は長期保存せずに用が済んだら捨てる、という習慣に変わりつつあります。そのため、一時保管用にダブルクリップを使う方が増えてきていると分析しています」
こうした背景からダブルクリップの新商品開発が決まり、改めて従来品を見直した。すると「周囲へのヒアリングや、ネット上のレビューなどで『固い』『痛い』といった不満があることに気づいたのです」
この不満の解消が、新商品の構想につながる。担当者は「お客様も潜在的に不満を感じていたようですが、どうやら固いのが当たり前のものとして我慢して使っていただいていたようです。新商品の開発で改めて気づかされました」
ユーザーも「目からウロコ」
「エアかる」発売を受け、ツイッター上でも、
「すごく簡単なことだけど誰も気づかなかった」
「常識を疑うのって大切ね」
「盲点オブ盲点」
「誰かやりそうでやらない コロンブスの卵」
など、多数のユーザーが膝を打った。
サイズは大、中、小の3種類。価格はそれぞれ450円、350円、300円(すべて税抜)。
全国の量販店やネット通販などで販売する。