「プロの方々が真剣に歌って下さって光栄」
このライブに対して中島みゆきは筆者のインタビューで「プロの方々が真剣に歌って下さって光栄な気持ちで一杯」という話をしていた。最新アルバム「相聞」の「アリア~Air~」の中でも「一人では歌は歌えない 受けとめられて産まれる」と歌っている。彼女が89年に「夜会」をスタートした時にも「歌を解放する」という言い方をしていた。自分の歌でありながら、それぞれの聴き手のものになってる歌をその人たちのイメージや先入観から解き放ってその歌自身の世界を広げてゆく。「歌縁」に、作り手だった「中島みゆき」の姿はない。ステージに登場しないというだけではなく「中島みゆきの歌」という限定がない。彼女が産み落とした歌を、これだけの歌い手が「自分の歌」として歌っている。それは、中島みゆき自身が望んでいたことでもあるのだろうと思った。
大竹しのぶの「歌姫」のしみじみとした達観にも似た温度感は誰にも表現できないだろう。
2015年の「歌縁」は即日完売、2016年にライブアルバムになった。そして去年、2017年は東京と大阪だけではなく全国にツアーとして回った。今年は2月から再び全国9か所のツアーとして行われている。何と3月3日には武道館で予定されている。本人が登場しないカバーだけのライブでの全国ツアーはもとより武道館公演というのも異例だろう。今年の参加者はクミコ、研ナオコ、島津亜矢、高畑淳子、中村中、新妻聖子、半崎美子、平原綾香という顔ぶれだ。
歌は解き放たれてゆく。
それぞれの歌として新しい命を吹き込まれてゆく。
歌い手にも聴き手にもそこに「縁」が生まれてゆく。
(タケ)