不穏な予言
冒険家もその妻も、あなたも私も、生きてゆかなければならない。あらゆる生活者を見舞う「新鮮」な試練や危険を乗り越えて。
あやした(つもりの)赤ちゃんから、いきなりの天変地異まで、素人を不意の冒険へと引き込むワナは四方で口を開けている。
「9・11」を境に世界で相次ぐ無差別テロ、時間の問題とされる首都直下型地震、さらには北朝鮮やトランプ大統領の存在を思うとき、私は冒険家の妻の、40年前のボヤキにはっとする。
<極点も東京も同じです>
不穏にして、的確な予言ではないか。
冨永 格
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新聞社の「コラム職人」だった筆者が、雑誌を中心にコラムや随筆を読みあさり、これと思ったものから書き起こします。水と緑を求めて移ろう遊牧民のように、表現のオアシスを探しての放浪にお付き合いください。