2018年1月22日に東日本で大雪が降り、東京都心でも交通マヒがおきるほどの大混乱となった。23日には群馬県の草津白根山が噴火するなど、日本各地で自然災害が相次いでいる。地球に暮らす以上避けられないものとはいえ、自然災害はいつどこで起きるか予測できないだけに恐ろしい...。今回は、自然災害のメカニズムや対策方法、支援の取り組みなどを学ぶことができる3冊をご紹介。
J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://books.j-cast.com/)」でも特集記事を公開中。
日本を次々と襲う大災害を概観する歴史読み物
「日本書紀」に詳細に記述された684年の白鳳地震から、2011年の東日本大震災まで、甚大な被害をもたらした地震・噴火・津波・台風は、長くて数十年、早ければ数年刻みで日本列島を襲ってきた。しかし日本人は、どんな厳しい状況を経てもいつも立ち直ってきた。そのたくましいともいえる歩みを、災害ごとに時代を追って紹介する『今こそ知っておきたい「災害の日本史」 白鳳地震から東日本大震災まで』(著者:岳真也 PHP研究所 1,008円)。立ち直りとともに問題点も抱えている...それが「忘却」である。前回の教訓を次に生かすことなく、「人災」のようなかたちで被害を拡大。社会や政治体制に変革が起こり、歴史は激動しながら展開していく。
本書では、災害の状況や時代の概況、影響とその後の社会を写真や図解で説明しながら解説する。第1章(古代・奈良~平安)白鳳地震ほか、第2章(鎌倉~安土桃山)文治地震ほか、第3章(近世I江戸前期)慶長東南海地震ほか、第4章(近世II江戸後期)天明浅間山大噴火ほか、第5章(幕末~明治)安政東南海地震ほか、第6章(大正~昭和前期)桜島大噴火ほか、第7章(戦後~平成)昭和南海地震ほか。
本当に役立った支援事例を楽しく学べるヒント集
お金での支援、モノでの支援、いろんな困ったことを解消する小さなアイデアなど、災害支援の事例を紹介する『災害支援手帖』(著者:荻上チキ 木楽舎 1,296円)。社会問題から文化現象まで、幅広く取材・論評するニュースサイト「シノドス」編集長でラジオのパーソナリティーでもある荻上氏がNPOやボランティアの人々を取材した内容をわかりやすくイラストなどを使って解説。
どのような災害支援の対応がうまくいって、うまくいかなかったのかをテーマごとに、あらゆる角度から検証し、失敗と成功事例を比較することで、次にくる災害への備えを共有することができる。
巻末に「現地に行くときに知ってほしいこと」のコラムもある。
地球温暖化問題をどう打破する
京都議定書の詳細ルールの策定や、ポスト2013年枠組みの交渉に参加した、東京大学公共政策大学院教授で著者の有馬純氏が、パリ協定の概要と課題、今後の国内対策をめぐる論点をまとめた『精神論抜きの地球温暖化対策――パリ協定とその後』(著者:有馬純 エネルギーフォーラム 1,944円)。
「パリ協定に盛り込まれた1.5~2℃安定化は国際交渉を通じて達成できるものではなく、革新的技術の開発が不可欠。また、国内対策では、エネルギー安全保障や経済成長、地球温暖化防止のバランスが必要で、日本の中長期の温室効果ガス削減を真面目に考えるのであれば、原発の再稼働のみならず、新増設についてきちんと議論していくことが重要」と有馬氏は「新電力ネット」のウェブサイトで語っている。
「COP21への長い道のり」「COP21に向けての争点」「COP21はどう進んだのか」「COP21はなぜ成功したのか」「パリ協定で何が決まったのか」「パリ協定をどう評価するか」「世界は脱炭素化に向かうのか」「26%目標達成のカギは原子力」「長期戦略と長期削減目標」「地球温暖化防止に取り組むならば原子力から目をそらすな」「長期戦略の中核は革新的技術開発」「炭素価格論について考える」の全12章。